WebViewとは?ブラウザとの違いやガワアプリまで分かりやすく解説
こんにちは。MagicPod カスタマーサクセスのIshiiです。
スマートフォンアプリ開発では、ネイティブアプリとWebコンテンツを組み合わせるケースが増えています。そのようなハイブリットアプリを実現する代表的な仕組みが「WebView」(ウェブビュー)です。
本記事では、WebViewの基本から活用シーン、さらには見分け方やテストのポイントまでを詳しく解説します。
目次
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資料を無料でダウンロードするWebView(ウェブビュー)とは
WebView(ウェブビュー)とは、モバイルアプリ内でWebコンテンツを表示するための仕組みです。簡単に言えば、アプリの中に埋め込まれた小さなブラウザのような存在です。
ネイティブアプリの枠組みの中に、HTML、CSS、JavaScriptで作られたWebページを表示できるコンポーネントで、iOS では WKWebView、Android では WebView クラスとして提供されています。
開発者はこの機能を使うことで、アプリストアでの審査やアプリの更新を待つことなく、サーバー側でコンテンツを変更・更新することが可能になります。
ネイティブアプリの操作感とWebコンテンツの柔軟性を同時に活かせるため、多くのアプリで活用されています。
例えば、Amazon、楽天市場といったECアプリの商品ページや、Yahoo! JAPANやSmartNewsなどのニュース記事ではWebViewが用いられています。
WebViewとブラウザの違い
WebViewとブラウザは、どちらもウェブコンテンツを表示する技術ですが、その役割と機能には大きな違いがあります。
- ブラウザ:ウェブサイトを閲覧するための独立したアプリケーション
- WebView:アプリ内にウェブコンテンツを埋め込むためのコンポーネント
ブラウザは、ChromeやSafariのような独立したアプリケーションで、ユーザーがウェブサイトを閲覧するための完全な機能を備えています。アドレスバー、ブックマーク、タブ機能、履歴管理など、ウェブ閲覧に必要なすべてのインターフェースを持っています。
一方、WebViewは、アプリ内にウェブコンテンツを埋め込むためのコンポーネントです。アプリの一部としてウェブページを表示する、いわば「アプリ埋め込み型のブラウザコンポーネント」と言えます。例えば、SNSアプリ内で「よくある質問」リンクをタップしたときにアプリ内でWebと同様のヘルプページが表示される場合、それがWebViewです。
WebViewのメリット・デメリット
WebViewのメリット
開発コストの削減が最大の魅力です。他にも柔軟に更新ができる点や、学習コストの低さ、統一されたユーザー体験の提供などのメリットがあります。
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開発コストの削減
Webの技術を使って一度開発すれば、iOS、Android、場合によってはWebブラウザでも同じコードを動かせます。各プラットフォーム向けに別々のコードを書く必要がないため、開発期間を大幅に短縮でき、メンテナンスも楽になります。 -
柔軟な更新性
ネイティブアプリの場合、機能追加や修正のたびにアプリストアの審査を通す必要がありますが、WebViewで表示するコンテンツはサーバー側を更新するだけで即座に反映できます。これにより、コンテンツ差し替えや軽微な文言変更を素早く展開できます。 -
既存のWeb資産の活用
すでにWebサイトやWebアプリケーションを持っている企業なら、その技術やコードをそのまま流用できます。Web開発者のスキルセットをそのまま活かせるため、新たに学習コストをかける必要も少なくなります。 -
統一されたユーザー体験
WebとアプリでUIやUXを統一したい場合、WebViewを使えば同じデザインや機能を簡単に実装できます。
WebViewのデメリット
一方で、WebViewにはいくつかの制約や課題があります。最も大きな欠点はパフォーマンスの問題で、他にはネイティブアプリのようなUXが提供できない点も課題として挙げられます。
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パフォーマンスの問題
パフォーマンス低下は最も大きな欠点です。ネイティブアプリと比較すると、WebViewは動作が遅くなる傾向があります。特に複雑なアニメーションやスクロール、大量のデータ処理が必要な場面では、ユーザーが遅延やカクつきを感じることがあります。 -
デバイス機能へのアクセスが限定的
カメラ、GPS、プッシュ通知、センサー類などのネイティブ機能を使うには、追加実装が必要で制約も多いです。完全なネイティブアプリに比べると、スマホの性能を最大限活用できない のが弱点です。 -
ユーザー体験の違和感
WebViewで作られたアプリは、ネイティブアプリ特有の滑らかな動きや操作感を完全に再現するのが難しく、ユーザーが「アプリらしくない」と感じることがあります。各プラットフォームのデザインガイドラインに完全に従うことも困難です。 -
ストア審査で落ちるケースもある
App Storeは「WebViewをただ表示しているだけ」のアプリに厳しい傾向があります。 ただのWebサイトのラップアプリだと判断されてしまったり、WebViewのみでアプリ独自性がないと判断されてしまうとストア審査で落ちる可能性があります。
WebViewの使い所と具体的な活用例
WebViewは「頻繁に更新が必要」「外部サービスを統合したい」といったシーンで特に力を発揮します。
以下に代表的な利用例を挙げます。
- 利用規約・プライバシーポリシーの表示
法的文書は頻繁に更新される可能性があるため、WebViewを使用することでアプリを更新せずにコンテンツを変更できます。 - ヘルプ・FAQ画面
検索機能や階層的なナビゲーションが必要なヘルプコンテンツに最適です。 - ニュース記事・ブログコンテンツ
テキスト中心のコンテンツで、豊富な装飾やレイアウトが必要な場合に適しています。 - 決済画面の統合
PayPalやStripeなど、外部決済サービスの画面をアプリ内で完結させたい場合に使用されます。 - ソーシャルログイン
Google、Facebook、Twitterなどの認証フローをアプリ内で実現するために活用されます。 - サードパーティサービスの組み込み
チャットボット、地図サービス、動画プレイヤーなど、外部サービスのUIをアプリに統合する際に使用されます。
この記事の執筆にあたり、WebViewが使われているかという観点で普段使っている様々なアプリを触ってみたのですが、私が使っているアプリの8割以上ではWebViewで構築された画面が組み込まれていました。特に利用規約などのポリシー系やヘルプコンテンツは特にWebView率が高いです。
このように部分的にWebViewで構築されているハイブリットアプリは多く存在します。さらに最近では、ほぼ全てをWebViewで構築する「ガワアプリ」と呼ばれるアプリも増えてきています。
最近増えている「ガワアプリ」とは
最近は、いわゆる「ガワアプリ」と呼ばれるアプリも増えています。ガワアプリとは、アプリの外枠(ガワ)だけをネイティブで作り、中身はほぼWebViewで構築されたアプリのことです。Webアプリをそのままラップする、というところから「ラッパーアプリ」と呼ばれることもあります。
ガワアプリ(ラッパーアプリ)には以下のような特徴があります。
短期間でリリースできる
既存のWebサービスを流用できるため、ゼロからネイティブアプリを開発するよりもスピーディにリリースできます。
開発コストを抑えられる
Android、iOS向けに個別の開発を行わず、Web資産をそのまま活用できるので、コスト削減が可能です。
アップデートが容易
アプリのバージョンアップを行わなくても、サーバー側のWebコンテンツを更新するだけで最新状態をユーザーに届けられます。
一方で、ガワアプリにはユーザー体験やネイティブ機能との連携、ストア審査で却下されるリスクなど課題もあります。
WebViewの仕組みと実装例
WebViewの内部では、各プラットフォームのブラウザエンジンが動作しています。
例えばiOSであればWebKitベースのWKWebView、AndroidであればChromiumベースのWebViewが用いられています。
WebViewは以下の流れで動作します。
- アプリがWebViewにURL、HTMLコンテンツなどを渡す
- WebViewが OS のブラウザエンジンを使ってコンテンツを解析・レンダリングする
- ユーザー操作(クリック、スクロール、フォーム入力など)がWebView内部で処理される
- 必要に応じて、JavaScriptとネイティブコード間で通信が行われる
例えばReact Nativeでは、このようなコードでWebViewを用いた画面構築を行うことができます。
Android・iOS・WindowsアプリのWebViewの違いと特徴
各プラットフォームでは、それぞれ独自のWebView技術が提供されており、ネイティブアプリケーション内でWebコンテンツを表示するための標準的な仕組みとなっています。
FlutterやReact Nativeなどのマルチプラットフォームフレームワークでは、各プラットフォームのネイティブWebViewをラップしたライブラリが提供されており、統一されたAPIでWebコンテンツを扱うことができます。
iOS(ネイティブアプリ)
iOS 8以降で導入されたWKWebViewが標準のWebViewコンポーネントとして利用されます。
UIWebViewは非推奨となり、WKWebViewが標準的な実装方法となっています。
Android(ネイティブアプリ)
WebViewクラスを使用してWebコンテンツを表示します。
Android System WebViewとして独立してアップデートされ、Chromiumエンジンをベースとしています。
マルチプラットフォームフレームワーク(React Native、Flutter)
React Nativeではreact-native-webviewが公式にサポートされています。
Flutterではwebview_flutterパッケージがReact Nativeと同様の機能を提供しています。
Windows
WindowsアプリケーションではWebView2が標準的なWebView実装として提供されています。
Microsoft Edge(Chromium版)をベースとしています。
各プラットフォームのコンポーネントとエンジンを以下にまとめました。
| プラットフォーム | コンポーネント | エンジン |
|---|---|---|
| Android (Kotlin) | WebView | Chromium |
| iOS (Swift) | WKWebView | WebKit |
| React Native | react-native-webview | 各OS依存 |
| Flutter | webview_flutter | 各OS依存 |
| Windows | WebView2 | Chromium (Edge) |
WebViewとネイティブアプリの見分け方
モバイルアプリのコーディングをしないQAエンジニアなどにとって、「この画面がWebViewで構築されているか」の判断は難しいかと思います。ここではMagicPodで確認できるUIツリーでWebViewで構築されている部分(以後WebView要素と呼びます)を見分ける方法を紹介します。
WebView要素が存在する場合、この画像のようにUIツリー上に”WebView”が含まれた要素が存在します。こちらの例はAndroidですが、iOSでも同じように”WebView”が含まれた要素が存在します。
WebView画面のテスト方法
ここではAppiumおよびMagicPodでWebView画面のテストを行う方法を解説します。
WebViewテストのための事前準備
Appium、MagicPodどちらの場合でも、テストツール側からWebViewを読み取れるようにする必要があります。
-
Androidの場合
アプリのプログラム中で、対象のWebViewがアプリ上で表示されるまでにsetWebContentsDebuggingEnabled(true)という静的メソッドが呼ばれる必要があります。 -
iOSの場合
WebViewはWkWebViewコンポーネントまたはUIWebViewコンポーネントを使って実装されている必要があります。SafariWebViewControllerコンポーネントを使っているとうまく動作しません。 また、iOS/iPadOS 16.4 以降の場合、WKWebViewコンポーネントの「isInspectable」プロパティを「true」に設定する必要があります。
詳しくはこちらのヘルプページをご参照ください:WebViewのテストについて
事前準備が完了したら、実際にテストを作成していきましょう。
Appiumを使用する場合
AppiumでWebViewを操作するには、以下の3ステップが基本です。
- コンテキスト(Native ⇔ WebView)を切り替える
- WebDriverの操作でWeb上の要素を操作する
- 必要なときにNativeに戻る
例えば、Pythonで実装する場合はこのようなコードとなります。
from appium import webdriver
from appium.webdriver.common.appiumby import AppiumBy
from selenium.webdriver.support.ui import WebDriverWait
from selenium.webdriver.support import expected_conditions as EC
# Appiumドライバーの初期化(設定は省略)
driver = webdriver.Remote('http://localhost:4723', capabilities)
# 1. 利用可能なコンテキストを確認
contexts = driver.contexts
print("利用可能なコンテキスト:", contexts)
# 出力例: ['NATIVE_APP', 'WEBVIEW_com.example.app']
# 2. WebViewコンテキストに切り替え
driver.switch_to.context('WEBVIEW_com.example.app')
# 3. Web要素を操作
wait = WebDriverWait(driver, 10)
element = wait.until(
EC.presence_of_element_located((AppiumBy.ID, "username"))
)
element.send_keys("testuser")
# ネイティブ画面に戻る場合
driver.switch_to.context('NATIVE_APP')Appiumを用いる場合は、明示的にコンテキスト(Native ⇔ WebView)を切り替える必要がある点に注意が必要です。
MagicPodを使用する場合
MagicPodでは、Appiumのようにコンテキスト(Native ⇔ WebView)を切り替える必要がありません。
「WebViewスキャン」を行い、その要素をテストでの操作対象とすることで、MagicPodが裏側でよしなにコンテキストの切り替えをしてくれます。
MagicPodでは「WebViewをスキャン」で取得した要素を指定するだけで、コンテキストの切り替えを意識せずともテスト実行を行える点をお褒めいただくことが多いです。
さらに、MagicPod Autopilotという生成AIテスト作成エージェントを用いれば、指示をするだけでWebViewのテストを簡単に作成することができます。
WebViewのテストについてはいくつか注意点がございますので、詳しくは以下ヘルプページをご参照ください。
参考ヘルプページ:WebViewのテストについて
また、WebViewがメインのアプリでは、主なテストはWeb側で行い、モバイル特有の機能のみモバイルアプリ用のテストツールを用いてテストしているケースも多くあります。
WebViewアプリをブラウザテストでカバーしているお客様の事例をぜひご覧いただけると嬉しいです。
▼お客様事例
GMOメディア株式会社様:1人で30コンテンツの品質管理を実現するためMagicPodを導入。実行回数も検知の幅も7倍に増加し、理想的なテスト体制を構築
最後に
WebViewとは、モバイルアプリ内でWebページを表示する仕組みであり、ハイブリッドアプリの開発に広く利用されています。
MagicPodを用いることで、WebViewで構築されたモバイルアプリ画面のテストを簡単に自動化することができます。
また、ブラウザテストとモバイルテストを組み合わせることで、Web側・モバイル側の両方を効率よくカバーし、テスト工数を削減しつつ品質を高めることが可能です。
「当社のモバイルアプリは自動化できるだろうか?」というざっくりとしたご相談も大歓迎です。
もしMagicPodが気になった方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
https://magicpod.com/consulting/
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