QA Success Panel 〜品質を上げるための「いつもどおり」を変える〜


こんにちは、MagicPodメンバーのIkariです。
今回は、2026年5月11日(月)12:00〜13:00開催のオンラインイベント「QA Success Panel 〜品質を上げるための「いつもどおり」を変える〜」 のレポートをお届けします。
本イベントでは「いつもどおりにやっていれば品質が良いものができる」状態に近づくために何を考え、何をしたのかについて、リアルな取り組みや試行錯誤について共有いただきながら議論しました。


目次

パネルディスカッション

パネリスト

  • 廣田 大騎(piro-chan)さん| 株式会社hacomono QAエンジニア
  • 村上 槙(murashi)さん|株式会社estie QA Manager

モデレーター

  • 伊藤 由貴| 株式会社MagicPod エバンジェリスト

セッションサマリー

QAチームの役割とプロダクトとの関わり方

冒頭では、両登壇者からそれぞれのQA組織体制や、開発チームとの関わり方についてお聞きしました。

Piro-chanさんは、従来型の ”テストフェーズに人を投入するQA” から、各ドメインの開発チームへQAメンバーが入り込む“インプロセスQA”へ移行している状況を説明してくれました。

「プロダクトを作る全員が、全ての工程で品質に関わる状態を目指しています」(piro-chanさん)

現在は、ドメインごとにQAが所属し、企画・設計段階から品質活動へ参加しているとのこと。いわゆる“最後の砦”としてではなく、開発の流れそのものに品質を組み込む動きに関するお話しが印象的でした。

一方、murashiさんは、複数プロダクト・複数事業部を持つ組織の中で、少人数QAチームとしてどのように価値を出しているのかを紹介。

「高速な価値提供サイクルの支えになる、というミッションをまず決めました」(murashiさん)

品質を守るだけではなく、“開発スピードを落とさずに品質を高める”という視点が、QA活動全体の軸になっているとのことでした。
そして、ミッションを決めたあとはQAが目指すべき状態についても話し合い

「プロダクトの信頼性と組織の生産性を上げるために品質課題を解こう」(murashiさん)

という点で価値を出していくことがジョブの中心にあると語りました。

QAの守備範囲は、AIによってさらに広がっている

イベントを通して特に盛り上がったテーマが、「AIによってQAの役割はどう変わるのか」という話題でした。

piro-chanさんは、QA組織内でAI活用を標準化するために、スキル共有やワークショップだけでなく、“AIでしか仕事をしてはいけない日”を設けたエピソードを紹介。

「AIってどこまでできるんだっけ?を測るために、何でもAIにやらせてみたんです」(piro-chanさん)

テスト設計、テスト実装、資料作成、ブログ執筆まで、あらゆる業務をAI前提で試行したことで、AIが得意な領域・人間が介在すべき領域を組織全体で学べたと振り返りました。
その上で、piro-chanさんはQAに求められる力について次のように語りました。

「AIでテスト設計や実施ができる時代だからこそ、人間はチームやプロダクトを深く洞察する力が必要になる」(piro-chanさん)

AIによって“作業”の一部が代替される一方で、これからのQAにはより高い抽象度で課題を捉える力が求められていきそうです。

murashiさんからは、AIによって技術的なハードルが下がり、これまでQAだけでは踏み込みづらかった領域にも挑戦できるようになったという話が聞けました。

「AIのおかげで、『やればできるじゃん』という成功体験が増えました」(murashiさん)

AI活用によって、これまで技術的ハードルが高かった領域、E2Eテスト以外の領域についても、コード理解や実装補助をAIが支援することで、QA自身がより踏み込んで技術的アプローチを取りやすくなった、ともおっしゃっていました。

例えば、murashiさんのチームでは、問い合わせ調査時にログだけでは状況把握が難しく、お客様への確認が必要になる場合があるという課題に対して、

「Datadogのセッションリプレイを入れてみるともっと効率的になるかもね、というのをQA側で提案して実装までやる」(murashiさん)

と、運用そのものへの改善を自律的に行なっている例を紹介してくださいました。

Piro-chanさんは、各チームごとに閉じた活動にならないよう、越境型のコミュニケーションを重視していると紹介。

  • 他チームのPull Requestレビュー
  • QA横断課題への全員参加
  • チームを越えたナレッジ共有
  • PdMサポートへの参加

など、“QA部門内で閉じないQA”を意識していることが印象的でした。

「隣のチームで誰が何をやっているか分からない、をなくしたい」(piro-chanさん)

QAを“専門職”として孤立させるのではなく、組織全体へ知見を循環させたいという強い思いを感じました。

品質とスピードのバランスをどう取るか

後半のQ&Aセッションでは、「爆速開発の中で、品質保証がボトルネックにならない工夫は?」という質問も寄せられました。

murashiさんは、すべてを完璧に防ぐのではなく、“何を重要視するか”を定義することの重要性を強調。

「小さいものは諦める、というより、“何を大事にするか”を再定義している感覚です」

一方、piro-chanさんは、QAだけの論理で品質を語るのではなく、ビジネス側の背景理解も必要だとコメント。

「ビジネス側がなぜそれをやりたいのか、ちゃんと聞く必要がある」(piro-chanさん)

品質とビジネスは対立するものではなく、相互理解の上で最適解を探していくべきだという姿勢が印象的でした。

AI時代のQAに必要な「言語化力」

さらに話題は、AI活用とQAスキルの関係についても移りました。

piro-chanさんは、AIを活用する上で特に重要なのは“言語化する力”だと語ります。

「(感覚優位の人でも)自分の考えを言葉にする力は、後天的にも鍛えられると思う」(piro-chanさん)

その具体例として紹介されたのが、“議事録を徹底的に書く”という習慣でした。

「聞いた話を、自分の言葉で即座にまとめる。それ自体が言語化トレーニングになる」(piro-chanさん)

AI時代だからこそ、人間側の“考えを構造化して伝える力”がより重要になっていることを感じさせられました。

まとめ

今回のQA Success Panel #2は、改めてQAの役割がテストだけではなく、組織全体の価値提供を支える存在であることが強く伝わるイベントとなりました。
特に印象的だったのは、登壇したお二人とも“品質をQAだけの責任にしない”という考え方を持っていた点です。

  • 開発プロセス全体へ品質活動を組み込む
  • QA自身が技術領域へ踏み込む
  • AIを活用しながら、より高次の課題解決へ向かう
  • 組織を越えて知見を循環させる

こうした取り組みは、品質をあげるためにQAの”いつもどおり”を変える取り組みについて、多くのヒントを与えてくれる内容だったと思います。

MagicPodでは、今後もQA・テストに関するイベントを開催していきます。
ご興味のある方は、ぜひ次回ご参加ください。


Tomoyuki Ikari

Tomoyuki Ikari

慶應義塾大学経済学部卒業後、ハウスメーカーや外資系大手IT企業で営業経験を積む。社内英語通訳やフリーランスの英語講師としても活動。2022年MagicPod入社。
幼稚園から私立育ちで一見とても品よく真面目そうに見えるが、実はM-1グランプリ出場経験や、もみあげだけに毛を生やした状態で高三の夏から卒業式まで過ごしていたというクレイジーな一面を持つ。MagicPod唯一のエンターテイナータイプ。
プライベートではポーカー(テキサスホールデム)をやっていて、大会での優勝経験も持つ。暑さ、寒さ、雨に弱い。

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