QAエンジニア必見!AI・ノーコード時代に求められる4つのスキルとは?


「QAエンジニアの仕事は、3〜5年後も続けられると思う?」
ある朝、同僚にそう聞かれました。

私は「もちろん。私たちには独自のスキルセットがある。誰でもテストはできるけど、テスターとしての視点を持っている人は多くない」と答えました。
ただ、そう答えながらも心の中では「スキルを磨き直すべきか、それとも転職を考えるべきか」と自問していました。

この問いに対する他の人の考えも知りたく、LinkedInでアンケートを実施してみました。
予想通り、大半の人は「QAの仕事は今後も安定している」と答えましたが、約19%は「転職を検討するのも賢明だ」と考えていました。

さらに、インドネシアの著名なテクノロジーリーダー、Ibrahim Ariefさんもソフトウェアエンジニアリングへの「大胆な転身」を推奨しており、私のアンケートで感じた不安を裏付けるような意見を示していました。

QAという職種がなくなるわけではありません。
ただし、変化する環境に適応できる人だけが生き残るでしょう。

本稿では、データ転送、データストレージ、アプリケーションアーキテクチャ、コード品質という4つのソフトウェア開発分野への理解が、QAエンジニアとしてキャリアを築く上でどのように役立つかを解説します。


QAの進化:手動テストから自動化へ

品質保証の黎明期では、ほとんどのテストが手作業で行われていました。
そのため、開発者の作業が終わるのを待ってから、QAエンジニアがテストケースを実行し、内容を確認するのが一般的でした。

しかし、企業は手作業によるアプローチではスケールしないことに気づき、繰り返し行う作業を減らし、探索的テストの時間を確保するために自動化への投資を進めました。

私もFAANG企業がどのように品質エンジニアリングを進化させているのか調べたところ、従来型のQAエンジニアという役割がほとんどなくなっていることに気づきました。

これらの企業は品質管理の方法を根本的に見直し、自動化フレームワークを活用して開発者がテストの責任を担うことで、専任のQA担当者を減らしていました。

なぜこの変化が起こったのか

理由はシンプルです。
開発者自身がテストと品質管理を担う方が効率的で、また高品質なコードを作る動機づけにもなるからです。

さらに、AIやローコード、ノーコードツールの進化によってテスト作成が容易になり、専任のテスターの必要性は確実に減っています。

QAに技術的知識が必要な理由

このような変化は、自然と次の疑問を生みます。
 「QAはどこに価値を見いだすのか」
 「今、最も求められるスキルは何か」

注目すべき点は、QAが消滅するのではなく、より技術的な役割に進化しているということです。
Microsoftの取り組みは、その変化を象徴する例です。
具体的には、開発者とQAを統合し、UIのE2Eテストの段階で見つけるのではなく、コードやAPIレベルで問題を早期に発見する体制を取っています。

このような取り組みは、Microsoftに限らず多くのチームでも広がっています。

もちろん、AppleやAmazonのように専任のQAチームを持つ企業もあります。
しかし、そこでも従来の手動中心のQAではなく、これまで以上に技術的なスキルを求められる役割へと変化しています。

私たちも、開発者の言葉を理解し、ブラックボックステストだけに頼るのではなく、関数やAPIコントラクト、システム間の相互作用を深く理解してテストする力が必要です。

AI時代に生き残るための4つのコア技術スキル

ここからは、QAエンジニアとしてキャリアを築く上で習得しておきたい「4つの基本スキル」を、レストランの例えを交えて解説します。

データ転送の知識

レストランで例えると、シェフが作った料理を客席まで運ぶウェイターが「データ転送」にあたります。

APIのリクエストを送るためにPostmanなどのツールを使うことはできても、REST APIやGraphQL、メッセージキューといったシステム間通信の仕組みを理解していないQAも多く見かけます。

どのサービスがどこに、どのような形式でデータを送るのかを理解することで、UI上の問題として現れる前にAPIコントラクトの不整合を発見できます。
例えば「なぜこのエンドポイントは一貫性のない日付形式を返すのか」「このサービスがタイムアウトしたらどうなるのか」といった問いを立てられるようになります。

データの保存・取得の知識

レストランには食材を入れる冷蔵庫や、器具を整理する棚があります。それらが整理されていないと、調理に時間がかかります。

同様に、データベースも設計と最適化が不可欠です。
SQLとNoSQL、インデックス、正規化といった基本を理解していなければ、開発者が書いたクエリが効率的かどうかを判断できません。

また、機能の動作が遅いときにフロントエンドの問題か、それとも非効率なクエリに原因があるのかを特定するためにも必要な知識です。

アプリケーション構造の理解力

アプリケーション全体のアーキテクチャを理解することで、ユーザーに届く前に問題を特定できるようになります。
開発者がどのようにシステムを分割し、各部分を接続し、通信を行っているのかを把握することは、QAエンジニアにとって欠かせないスキルです。

こうした理解があれば、より効果的なテストケースを設計できます。
例えば、コンポーネント同士の境界を意識してテストすることで、統合時の不具合を見つけやすくなります。
データがどこで変換されるのか、どこでエラーが起きやすいのかを見極める力も養えます。
さらに、システムの一部を変更した際に、他の部分にどのような影響が及ぶのかを予測し、リスクを事前に評価できるようになります。

コード読解力

優れたQAは、「良いコード」と「悪いコード」の違いを見極める力を持っています。
これは、ただ動作を確認するだけでなく、システム全体の品質を高めるために欠かせない視点です。

すべての機能を自分で開発する必要はありませんが、コードを読むことで開発者が意図した処理を理解し、潜在的な問題を予測できます。そのため、プルリクエストをレビューする際には、ユニットテストのカバレッジを確認し、疑わしいロジックを指摘することが重要です。

例えば、常に特定のデータ形式で値が渡されることを前提にしたコードを見つけた場合、「もしその前提が崩れたらどうなるのか」と考える必要があります。
また、既存のコンポーネントとは異なるバリデーションルールを実装していないかをチェックし、ユーザー体験に一貫性がなくならないようにすることも大切です。

こうした視点を持つことで、開発段階での問題を早期に発見し、リリース後のバグや不具合を減らす役割を果たせます。

QAの未来と進化

QAの領域は大きく変化していますが、決して消滅するわけではありません。
AIやノーコードツールの進化によって、多くの反復的な作業は自動化され、開発者自身がコードレベルでテストを行うことが当たり前になりつつあります。

そのため、QAエンジニアには開発者だけでは気づきにくい視点が求められます。
批判的思考やリスクアセスメント、ユーザー体験全体を俯瞰する包括的なアプローチは、依然としてQAならではの強みです。

私たちに必要なのは、こうした独自の価値を保ちつつ、時代の変化に適応して進化することです。これらの4つの技術スキルを身につけることで、開発者とより深く連携し、設計段階から問題を見抜き、リスクを管理し、プロジェクト全体を成功に導く役割を果たすことができます。

QAエンジニアは単なるテストの「門番」ではなく、チーム全体の品質を支えるパートナーとして、これからも必要とされ続けるでしょう。

参考文献:

MagicPodは、モバイルおよびWebアプリケーションテストに対応したAIテスト自動化クラウドサービスです。プログラミングなどの特別なスキルがなくても直感的に使うことのできるデザイン、クラウドでのサービス提供によるメンテナンス性の高さ、AI技術を活用した自動修正によるテストプログラム修正の手間削減などによりリリースサイクルの高速化を支援します。

Original article: https://blog.magicpod.com/stand-out-qa-engineer-technical-skills-ai-no-code

Aldy Syah Daviq Ramadhan

原文執筆 Aldy Syah Daviq Ramadhan

自動テストと手動テストの両方に精通したQAエンジニアです。効率的なテストフレームワークの構築と、高品質なソフトウェアの提供に取り組んでいます。


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