QAの世界で目指せるシニア職5選 ― あなたの次のキャリアは?


ソフトウェア品質に注力するエンジニアとしてキャリアの第一歩を踏み出したあなた。最初はテスターなど、キャリアの入り口となる役割からスタートすることが多いでしょう。

しかし、経験を積んでいくうちに「テストアナリスト」や「QAチームリード」、「テストアーキテクト」といったさまざまな役割に出会います。そこで気になってくるのが、「それぞれどんな仕事をしているのか?」「自分も次に目指すべきなのか?」という点ではないでしょうか。

この記事では、テスターがキャリアアップを目指すうえで知っておきたい代表的なシニア職 (QAマネージャー、QAチームリード、QAエンジニア、テストアナリスト、テストアーキテクト) を紹介します。それぞれの役割と責任を解説し、さらにEコマースプロジェクトを例に、実際の現場でどのように活躍するのかを具体的に見ていきましょう。


目次

QAマネージャーとは?

QAマネージャーは、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通して品質を確保する責任を担います。

EコマースプロジェクトにQAマネージャーがいるとしたら、テストフレームワークを構築し、品質基準を定め、開発チームと協力して本番環境に持ち込まれる不具合の発生を最小限に抑えます。
QAマネージャーは、特にリスク管理に重点を置く傾向があります。例えば「購入完了までのフローで不具合ゼロ」といった基準を設定することで、顧客がスムーズでエラーのない購入体験をできるようにします。また「支払い後24時間以内の返金処理」や「5回認証失敗するとアカウントロック」といった品質基準を設けることもあります。
つまり、QAマネージャーの役割は品質をビジネス成果へと結びつけることです。技術的な品質指標をステークホルダーに分かりやすく伝え、テストチームを育成・指導し、経営陣とも密に連携します。まさに技術的品質とビジネス成功をつなぐ架け橋といえるでしょう。

QAチームリードとは?

QAチームリードは、QAマネージャーが定めた品質基準を現場のテストタスクに落とし込み、チームが実行できる形にする役割を担います。つまり、戦略と実行の間をつなぐ存在です。

Eコマースプロジェクトであれば、支払い処理や在庫管理、ユーザー認証といった機能ごとのテスト活動を日々取りまとめます。テスト要件を具体的なタスクに分解し、QAエンジニアに割り当てるのです。例えば、新しい決済手段を導入する際には、以下のようなタスクに分解できます。

  • 支払いフローの検証
  • 適切なエラーハンドリングの確認
  • 取引データの整合性確認

QAチームリードは、品質問題が発生したときに開発者やプロダクトマネージャーが真っ先に相談する相手となります。現場に寄り添ったリーダーシップによって、定められた品質基準をテスト活動から確かな成果へとつなげていきます。

QAエンジニアとは?

QAエンジニアは、QAチームリードが作成したタスクを実際に遂行する役割を担います。

彼らは自動化テストスイートを設計・保守し、ソフトウェアの機能を検証します。Eコマースプロジェクトであれば、自動化テスト探索的テストの両方に注力します。

自動化では、ユーザーの操作を網羅したE2Eテストを書きます。例えば以下のようなケースがあります。

  • 商品をカートに追加して購入を完了する
  • 割引コード適用後の価格計算を確認する
  • 購入成功後の在庫が更新されたかを確認する
  • 長時間の決済プロセスにおけるセッションが維持されるかを検証する

一方で探索的テストでは、自動化でカバーしきれない予期せぬ挙動を探ります。例えば、複数ユーザーが同時に在庫残り1点を購入しようとするとエラーが出る、といったケースを発見した場合は、その内容をバグとして記録し、チームに共有して改善につなげます。

テストアナリストとは?

テストアナリストは、ソフトウェア要件やユーザーの行動パターンをもとにテストケースを設計・実行します。
Eコマースプロジェクトでは、ビジネス要件やユーザー要件を分析し、テスト対象を特定して最適なテスト手法を選択します。テストアナリストが設計するテストは多岐にわたります。

  • 機能テスト:購入処理や支払い処理の動作確認
  • リグレッションテスト:新機能追加による既存機能の破損を防止
  • ユーザビリティテスト:購入体験が直感的で使いやすいかを検証
  • パフォーマンステスト:アクセス集中時の応答速度を確認

不具合を見つけた場合は、Jiraのような管理ツールで記録・追跡し、レポートをまとめてステークホルダーに提供します。テストアナリストの役割は、製品品質を明確に可視化することです。

テストアーキテクトとは?

テストアーキテクトは、テストを実行するための基盤そのものを設計する役割です。

Eコマースの現場であれば、どのテストツールや自動化フレームワークを使うか、どのテスト手法を採用するかといった意思決定を行います。目的は、スケーラブルで持続可能なテスト基盤を作り上げることです。例えば以下のような取り組みが挙げられます。

  • 自動テスト用のCIパイプラインを構築する
  • 多様なテストに対応できるフレームワークを設計する
  • セキュリティやパフォーマンステストの実施方法を設計する
  • プラットフォーム固有の要件に合わせたカスタムツールを開発する

一言で言えば、テストアーキテクトはQA全体を支える土台を作る人です。さらに、テストのベストプラクティスをチームに伝え、基盤を効果的に活用できるよう指導も行います。彼らのアーキテクチャ上の判断が、QAチーム全体のテストの質と効率を左右するのです。

まとめ:テスターのキャリアアップの次の一歩

ここまで紹介してきたように、QAの世界には多様なシニア職があり、それぞれに異なる責任と役割があります。

テストアーキテクトとして技術的な挑戦に取り組む道もあれば、QAチームリードやマネージャーとして人材育成やチーム運営を担う道もあります。

大切なのは、それぞれの役割が持つ責任と影響力を理解し、自分に合ったキャリアの方向性を見つけることです。ぜひこの記事をきっかけに、あなた自身のキャリアの次の一歩を考えてみてください。

Original article: https://blog.magicpod.com/senior-qa-roles-target-first-testing-job

参考文献


 Jahdunsin Osho

Jahdunsin Osho

Edubalooの創業者兼テックリードとして、アフリカ全土の学生に質の高い教育を届けることに注力しています。それ以前は、複数のスタートアップでスケーラブルなバックエンドシステムの構築や、消費者向けのブロックチェーンアプリの開発、コアブロックチェーンのインフラ開発に従事。 社会的なインパクトを重視する彼は、SEO、コピーライティング、広告運用などのスキルも活かし、開発したプロダクトを確実にターゲットユーザーに届くようにしています。