ずっと心に温めていたテスト自動化。「おまかせプラン」を利用した導入でカバー率90%以上、大幅なコスト削減を実現
株式会社 食文化
ユーザーインタビュー第12回は、MagicPod代表伊藤とともに株式会社 食文化様にお話を伺いました。
具体的な活用事例や選定の決め手など、いろいろとお話しいただきました。
株式会社 食文化
2001年、食で日本人を元気にすることを掲げ、産直グルメEコマース「うまいもんドットコム」を開業。2004年、東京中央卸売市場(築地青果市場)と提携し全国の特選フルーツや野菜を宅配する市場直結EC「築地市場ドットコム(旧」「豊洲市場ドットコム(現」をスタート。日本全国の美味しいものを発掘し、紹介している。
POINT
- コロナ禍でずっと心に温めていたテスト自動化を提案
- 決め手はMagicPod代表 伊藤のエンジニア臭!?
- 導入初期は「テスト自動化おまかせプラン」を利用
- 約1000ケースのうち90%以上のカバー率を達成
MagicPod導入前の課題について
伊藤(MagicPod代表)︰山城さんは前職が日本アイ・ビー・エムなんですね。食文化さんへの入社もご経験を生かされてということだったのでしょうか?
山城さん(以下、山城):実は前職の経験とは別に、ずっと心にあった「食の仕事がしたい。日本全国で美味しいものを探したい」という想いで入社しました。最初の3ヵ月はカスタマーサポートに配属されて、お客さまからのお問い合わせ対応や出荷元への出荷確認などコールセンター業務をしていました。出荷量が多くて人手が不足している時は出荷の応援に行き、ひたすら箱に出荷伝票や冷蔵シールを貼ったり、段ボールに入ったみかんの中から品質劣化している商品をはじいたりしていました。今も繁忙期の年末には船橋の倉庫でカニの出荷を手伝ったりします。
伊藤︰だいぶ畑の違う仕事になりましたね。
山城︰そうですね(笑)。正式配属になった新規事業部では社長に付いて働きつつ、サブでシステム部の仕事をしていました。その後、前任者の異動によってシステム部がメインになり、2015年の育休明けに社長室も兼任することになって今に至ります。経営陣はSEとして10年ほど働いた経験に期待していたと思いますし、私としても適材適所なのかなと思っています。
伊藤︰開発体制やどのようにテストを行ってきたかについて教えていただけますか?
山城︰開発は創業期からアメリカ在住のKenjiさんという方が開発リーダー兼プログラマーを担当されています。現在は社外CTOのような形で携わっており、開発統括として4人のチームをまとめていただいています。
Kenjiさん曰く昔は「ある程度機能していればエキサイトな時代」だったそうで、テスターもおらず少なからずバグが出ていたようです。ただ、お金に関わるところの不具合は絶対に避けるようにしてきましたし、私の記憶でもサイトの細かい不具合が大きな問題になったことは多くありません。
伊藤︰確かに消費者目線で考えても、ECサイトのシステムに対する期待値はそれほど高くなかったかもしれませんね。
山城︰やはりお客さまが期待されているのは、魅力的な商品をいかに速くお届けするかという部分です。弊社としてそれがベストだと考えていたわけではないのですが、クリティカルなところは別にして、あまりテストに工数を掛けられない状況が続いていました。ただ、私自身、前職でNUnitというJUnit の.NET Framework版を使って単体テストを半自動化していた経験はあったので、結合テストについても「自動化したほうがいい」という考えはずっと持っていました。
MagicPodを導入した経緯
伊藤︰状況が変わってテスト自動化に取り組むことになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
山城︰コロナ禍により売り上げが大きく伸びたのがきっかけです。いずれ落ち着くとは考えていましたから、一時的に生まれた収益で何の投資をするのがいいか。それを考えて、ずっと心に温めていたテスト自動化を提案することにしました。
伊藤︰現場に課題感があってもそれが経営層に伝わらず、なかなか導入を進められない会社さんは少なくありません。タイミングだけでなく、山城さんの提案内容も良かったのではないかと思います。
山城︰Amazon Payや定期購入機能を導入した際のテストでは短期の派遣社員を採用したのですが、仕様を説明したり複数ブラウザによるリグレッションテストを実行するのに少なくない工数がかかっていました。そのコストを計算して、自動化するとどれだけコスト削減につながるか説明する文章を作り、社長に稟議を上げて了解をもらいました。
伊藤︰理想的な進め方だと思います。その時点でノーコードツールを使うなど自動化の条件はありましたか?
山城︰コードを書く案もありましたし、アウトソーシングする案もありました。自動化する具体的な条件は設けずに提案を頂いたのですが、アウトソーシングは予算に合わず早々に候補から外れました。その頃、社内でRPA(Robotic Process Automation)の議論もあったので一緒にできたらいいなと思ったのですが、やはりちょっと違う議論になるのでこちらも候補から外れました。
伊藤︰そうですね。RPAはビジネスプロセスの自動化に適しているので、それだけでテスト自動化を実現するのは難しいかもしれません。RPAではどのような業務を効率化していますか?
山城︰売り上げや会員数、Google検索のホットワードを社員向けにメール配信して迅速に行動できるようにしたり、前日の注文を水産の仲卸に発注したりしています。水産系の方たちは終電で来て働かれているので、その時間に合わせて人が発注するのは大変なので助かっています。
伊藤︰なるほど、それはうまい使い方ですね。MagicPodは以前からご存じでしたか?
山城︰選定の際に知りました。2019年の夏から選定を始めましたが、検索してもMagicPodって出てこなかったんですよね。確かKenjiさんが英語のサイトで見つけてくれたと思います。もっと早く出会えていれば、もっと早く決まっていたかもしれないです(笑)。
伊藤︰その頃は社員5人でエンジニアしかいなくて、製品力に全振りしていたので営業は全然できてなかったと思います。最近はマーケティングも頑張っているので、みんなわりとすぐ候補に加えてくれます。ありがたいことに山城さんはMagicPodを選んでいただいたわけですが、何が決め手になりましたか?
山城︰一つは金額面です。こちらが心配になるくらい安かったです(笑)。あとSeleniumベースなのでもしもの時に移行しやすいという点が安心感につながりましたし、その時に採用していたメンバーがSelenium経験者で導入が進めやすかったというのもあります。KenjiさんはZoomで話した伊藤さんからエンジニア臭がしたのが良かったと話していました。
伊藤︰ありがとうございます。それはエンジニアあるあるですね。確かにエンジニアには伝わるエンジニア臭ってあります(笑)。
MagicPodの活用事例
伊藤︰導入はスムーズに行きましたか?
山城︰テストケースはユーザー画面が1200件ほどあり、その他にも店舗様の管理画面や運営の管理画面があわせて2000件ほど。そのうちバグが出た時に影響が大きいユーザー画面の会員登録、ログイン、お買い物に関するケースに絞って自動化することにしました。
最初はベンダーさんに立ち上げをお願いしましたが、こちらで探して見積もりを頂いたベンターさんは不安な点が多かったので、「テスト自動化おまかせプラン」でご紹介いただいたのは正解だったと思います。
伊藤︰弊社では僕と個人的なつながりがあって、自動化のことをしっかり分かっている会社さんを紹介しています。
山城︰ベンダーさんには2カ月ほどで正常系フローを実装してもらいました。そこで少なくないコストはかかっているのですが、開発チームがスムーズに引き継いで実現したコスト削減を考えれば、おまかせプランの費用対効果は十分だと考えています。
伊藤︰現在、自動化のカバー率はどれくらいですか?
山城︰エラー系も含めて約1000ケースのうち90%以上をカバーできています。お陰で案件ごとに雇っていたテスト担当の派遣コストが解消し、1.5人月ぐらいのコスト削減になりました。
伊藤︰素晴らしいですね。かなり高いカバー率だと思います。日常的にはどのように利用されていますか?
山城︰ブラウザごとのリグレッションテストを定期実行しています。深夜2時にAndroid Chrome、4時にiOS Safari、6時にPC Chromeといった具合です。月水の昼にはFirefox、火金の昼にはEdgeも実行しています。結果はテスターがメールで届いたものを確認して、不具合があればチームに共有するという流れになっています。
予定していた自動化は達成できているので、自動化のプロジェクトとしてはいったんクローズして運用を続けていきます。ただ、今後サイトをリニューアルする計画があるんですが、その場合はどうなるんでしょう? 自動修復されますか?
伊藤︰IDが変わらず同じ画面内でちょっと場所を移動したくらいであれば自動修復が働きますが、構成がガラッと変わるようなレベルになると難しいです。事前に共通化を進めておくと効率的に対応できると思います。
山城︰分かりました。開発チームに伝えておきます。MagicPodさんはお問い合わせにいつも素早く対応してくださるので、サポート体制にも満足しています。
伊藤︰ありがとうございます!
最後に
伊藤︰山城さんからテスト自動化を検討されている方にアドバイスはありますか?
山城︰私は社長室とシステム部を兼務しているので全社視点を持ちやすい立場ではあるのですが、「テストは自動化すべき」という考えで自動化を進めている場合は見直しが必要かもしれません。伊藤さんの前でテスト自動化を否定する話は気が引けますが……。
伊藤︰いえいえ、重要なことです。ビジネス全体の効率を考えた時にテスト自動化が最適ならやればいいと思いますが、自動化ありきで進めてしまうと「何をどこまで自動化すればいいんだっけ?」となってしまいます。
山城︰そうですよね。会社の売り上げやコストなど、広い視野で考えてみるといいと思います。そうするとテスト自動化も目的が明確になるはずです。
伊藤︰稟議も通りやすくなりますね。
山城︰仰る通りです。よく考えた上でテスト自動化を進めるのであれば、MagicPodは本当にお薦めです。
伊藤︰ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。
株式会社 食文化
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