選定の決め手は「テスト回数に制限が無いこと」。毎日テストすることで課題の早期発見につながっている。
K.S.ロジャース株式会社
ユーザーインタビュー第9回は、MagicPod代表の伊藤とともにK.S.ロジャース株式会社様にお話を伺いました。具体的な活用事例や選定の決め手など、いろいろとお話しいただきました。
K.S.ロジャース株式会社 会社概要
2017年の創業以来「完全リモート・完全フレックス、雇用形態自由」の形態をとり、新たな働き方を推進。フリーランスや副業エンジニアを中心に構成し、環境に縛られず自由な働き方を実現するコミュニティ型企業。スタートアップ各社でのCTO(最高技術責任者)としてのハンズオンやWEB・アプリケーションなどのシステム開発支援を行う「スタートアップ スタジオ事業」を通じて、国内の各種新規事業の推進支援を行っている。
POINT
- 事業拡大に品質保証が追いついていなかった
- 選定の決め手は「テスト回数に制限が無いこと」
- MagicPodが動いているから時間に余裕ができる
- 毎日のテストで課題の早期発見につながる
K.S.ロジャース株式会社
吉野 和宏さん(フリーランス / テストエンジニア)
MagicPod導入の経緯
吉野さん(以下、吉野):K.S.ロジャースに入社したのは2021年の秋頃で、それまではパナソニックで40年くらい品質保証を担当していました。10年くらい前からテスト自動化にも取り組んでいまして、ネットワークカメラのQAではSeleniumでWebUIのテストをしていました。定年退職してからは愛犬のお世話が本業になり、現在は副業として週2日くらいでK.S.ロジャースのQAユニットで受託や自社開発の品質保証をしています。
入社した当時、K.S.ロジャースは事業拡大に品質保証が追いついていない状態で、バグの見逃しが散見されたそうです。CEOの民輪(たみわ)さんが問題意識を持ち、「品質面の不安要素を潰す仕組みづくりが必要」と考えて自動テストの導入を進めているところでした。私がジョインした時はツールの選定が終わって2つに絞られたタイミングで、「吉野さん、MagicPodを触ってみてください」とお声が掛かってトライアルしてみることになりました。
MagicPod導入の決め手
吉野:前職ではSeleniumのテストコードを書いていましたので、MagicPodを使うと画面に表示された要素をドラッグ&ドロップするだけで自動テストができてしまう(現在はクリックするだけで作成可能)ことに驚きました。「すごい時代になったな」というのが率直な感想です。もう一つ驚いたのがロケータの自動修復機能です。Seleniumの時はロケータが少し変わっただけで動かなくなっていましたが、MagicPodならAIが「たぶんこれでしょう」と教えてくれます。あと画像差分確認機能ですね。ノーコードでサイトに表示されるサムネイルの検証ができるようになりました。開発環境は不安定で仕様が頻繁に変化するのですが、何回もAIにフォローしてもらって非常に助かっています。
最終的にMagicPod導入の決め手になったのは「テスト回数に制限が無いこと」でした。でも正直なところ、ここまで毎日毎日いろいろな条件でテストを繰り返すとは想像していませんでしたので、改めて選んで良かったと思っています。他にもSlackやメール、BrowserStackのようなツールと連携できる拡張性も良いと思いました。そういったことをQAユニットで議論して、「MagicPodにしましょう」となりました。
MagicPodの活用事例
吉野:現在、QAユニットではK.S.ロジャースの自社開発でMagicPodを利用しています。具体的には、ある業界団体のサイトでサイト利用者の属性ごとに正しく情報提供が行われているかを確認しています。例えば公開期限付きの情報が公開期間のみ提供されているか(公開期間以外は提供されていないか)や、管理画面で利用できる機能がロール毎に制御されているかといった検証をPCとスマートフォンの両方で行っています。
お客さまの属性は非常に多岐にわたるため、MagicPodのスケジュール機能を使って毎週決まった曜日の決まった時刻にさまざまな条件でテストを実行しています。ただ、手持ちのテストケースをいつ実行するか段取りしていくと現在の契約ではあっという間にスケジュールが埋まってしまいます。さらに、日中はテストステップの実装に環境を使いたいですし、DeployのタイミングでE2Eテストも実行したい。そこで、なるべく日中の作業時間を確保できるように1週間のテスト計画表を作成しています。
現在、テストの8割ぐらいはMagicPodがリグレッションテストを実行してくれていて、とても助かっています。品質保証の仕事においてテストは重要なコンポーネントですが、それ以外にもいろいろな仕事があります。そこに時間を割く余裕ができるのは、MagicPodが動いているからこそだと感じています。
最近ではテスト管理ツールの導入検討や、K.S.ロジャースのSlackコミュニティでQA活動に関する情報発信もこれからどんどんやっていきたいと考えていますし、犬を抱っこしながらユーザーインタビューに出られるのも、まさに今、MagicPodが自動テストを実行してくれているからこそです(笑)。
伊藤(MagicPod代表)︰いろいろな条件でテストをされて、実際にバグは見つかっていますか?
吉野︰一般的には「ユニットテストを手厚くしてE2Eテストは本当に最後の最後」というのがテストピラミッドの話ですから、ステージング環境の安定したバージョンでE2Eテストをするケースが多いと思います。一方、私がMagicPodを使っているのはステージング環境にリリースする前の開発環境なので、毎日テストをすることでバグを前倒しで見つけることができています。昨日Deployしたものが夜中にE2Eが走り、朝には答えが出ていれば課題の早期発見につながりますので、開発環境で毎日テストが動いていることは開発者にとってもありがたいことではないかと思います。
伊藤︰とても良いことだと思います。テスト結果の確認にはロコガイドの岸さんが公開されている「magicpod-analyzer」を活用しているそうですね。
吉野︰MagicPodには実行結果のリスト画面の他にも、メールやSlackによる通知機能もありますので利用していますが、毎日テスト結果をリストで追いかけいているとそれだけで1日が終わってしまったり、埋もれて失敗に気が付かなかったりすることがあります。それではせっかく強力なツールがあるのにもったいない。もちろんMagicPodにはWeb APIも用意されていますが、「magicpod-analyzer」だとYAMLにプロジェクト名を記載しておけば、JSON形式でテスト結果を取得してくれますので、それをGoogleスプレッドシートに展開しています。どのように導入したか、詳しくはこちらに記載しましたので興味ある方はご覧いただければと思います。
※参考︰「自動化でリグレッションテストが1回→50回に増加。安心して開発できる環境ができたことで、時間の使い方を変えられるようになった。」(株式会社ロコガイド)
伊藤︰確かに慣れると当たり前になってしまいますので、毎日実行してそこから気づきを得るのは貴重なことですね。
吉野︰MagicPodの5周年イベントでも「毎日テストできるのがMagicPod最大の特徴です」とおっしゃってましたが、本当にその通りだと思います。
最後に
吉野:2021年、伊藤さんにお誘いいただいて「ソフトウェアテスト自動化カンファレンス」に登壇させていただきましたが、事務局のアンケート結果によると参加申し込みをした方の34%が「テスト自動化経験がない」とのことでした。人が少なくてなかなか手を出せないという状況はよくわかりますが、QAエンジニアはこれからますます多忙になっていくでしょう。だからこそ、自動テストは強力な味方になると思います。MagicPodのようなツールを使えば手軽に自動テスト環境が構築できる時代になりましたので、ぜひ体験してみてほしいです。
思い返せばSeleniumで英語の文献を読みながら独りでテストコードを作成していた時代もありましたが、今は心の拠り所になるいろいろなコミュニティがあります。自分で試してうまく動かなかったり不安になったりしたら、MagicPodのSlackコミュニティやTwitterでどんどん誰かに聞いて、前に進んで行くのがいいと思います。自動テストがもたらす恩恵を、肌で直に感じ取ってほしいです。定年退職して暇しているおじさんもいますので、わからなくなったらいつでも聞いてください!