MagicPodはQAが主体的に動けるツール。「エンジニアのリソースを割くのが難しい」という状況に対して非常に有効だった。

株式会社アクセルラボ

モバイルアプリテスト ブラウザテスト

ユーザーインタビュー第15回は、MagicPod代表伊藤とともに株式会社アクセルラボ様にお話を伺いました。
具体的な活用事例や選定の決め手など、いろいろとお話しいただきました。


株式会社アクセルラボ

不動産会社やハウスメーカー等の不動産事業者向けに、住まいのスマートホーム化を実現するサービス「SpaceCore(スペースコア)」を提供。2019年8月より提供を開始して以来、全国300社以上、約2万3000件以上で利用されています(2023年5月時点)。スマートホーム機器を設置し、専用アプリで家電製品や住宅設備が連動するオートメーション化や遠隔操作可能になる「スマートホーム機能」、物件のオーナーや居住者との契約事や日々のコミュニケーションが円滑に行える「リレーション機能」などを備え、2022年10月よりスマートホーム開発で培ったIoT技術を他業界へ展開することを目指し、IoTエンジン「alie+(アリープラス)」の提供も行っています。



POINT

  • 導入前の課題はリグレッションテストの肥大化
  • やりたかったことはMagicPodが叶えてくれた
  • 自動化はできるところから始めるのが重要
  • 継続的に使えて活用できているのが大事な成果

左︰中島 幸治さん プロダクト開発グループ グループダイレクター / 右︰阿部 健一さん プロダクト開発グループ QAユニット

左︰中島 幸治さん プロダクト開発グループ グループダイレクター
右︰阿部 健一さん プロダクト開発グループ QAユニット

MagicPodを導入した経緯

中島さん(以下、中島):私はアクセルラボ立ち上げ当初の2018年3月に入社しまして、現在はプロダクト開発グループという部門で「PMユニット」「デザインユニット」「システム開発ユニット」、そして「QAユニット」の4つを統括しています。部門全体の人数は20人ほどで、QAは3人チームになっています。他にQAも含めて業務委託のメンバーが50人ほどいます。

阿部さん(以下、阿部):私は2021年3月に入社しました。それまで派遣会社を通して大手のポータルサイトやECサイトなどのQAを担当してきまして、QA歴は20年になります。

中島︰阿部さんはもともとミュージシャンだったんですよね。

阿部︰プロのドラマーをしていたんですが、やはり音楽だけで食べていくのは難しくて。派遣会社に登録して紹介されたのがQAの仕事でした。当時はQAチームを社内に置く時代ではなかったので大手の派遣仕事が多く、QAの魅力に触れながらこの道一筋でやってきました。

前職ではSelenium IDEを駆使してリグレッションテストなどを自動化していまして、その時にSeleniumコミュニティで見かけた伊藤さんのコメントを参考にしたり、セミナーに参加したりさせてもらっていました。

伊藤(MagicPod代表)︰そうだったんですね! それでMagicPodのことを知っていただいたということでしょうか?

阿部︰いえ、実は伊藤さんを知っていてMagicPodを選んだわけではなくて、MagicPodの導入を決めてから開発者が伊藤さんだったと知ったんです。

伊藤︰なるほど、MagicPodがプロダクトとしてマーケティングできていたということですね。ありがたいです。阿部さんはテスト自動化を期待されてアクセルラボさんに入社されたということなのでしょうか?

阿部︰そうです。QAチームに知り合いがいまして、私が「もっとテスト自動化に携わっていきたい」と思っていたところに「アクセルラボで自動化を推進してほしい」と声を掛けていただき入社しました。

伊藤︰当時のテスト環境には課題があったということですか?

阿部︰アクセルラボのプロダクトはもともと1つだったのですが、顧客要望や市場ニーズへの対応として機能追加を行うことで、機能の影響範囲が拡大してきました。
これにより、リリースごとに行われるリグレッションテストも拡大・複雑化しました。

リグレッションテストをするタイミングもシステム検証が終わって品質が担保された状態になるリリース直前で、やりたい量ができずハッピーパスぐらいの簡単な受け入れテストしかできない状態でした。だんだん「ここをいじったのに、こっちがバグってる」みたいな細かい不具合がポロポロと出るようになっていたんです。


伊藤(MagicPod代表)

MagicPod導入の決め手


伊藤︰自動化ツールを選定する上で前提条件はありましたか?

阿部︰不動産会社(管理会社)が利用する管理画面はウェブですが、一般ユーザーに使っていただくスマートホーム機能はモバイルアプリで動かします。そのためiOSとAndroidの両方でテストできることがマストでした。あとノーコードで作れることも大前提でした。


伊藤︰阿部さんはSelenium IDEを使われてましたよね。ノーコードが前提というのはチームや採用を考えてのことですか?

阿部︰その通りです。「テスト自動化」はQAにとって魅力のある分野になりましたが、一方でコードを書いて構築していくには強い関心がないと続きません。ですから手軽にできて自動化の良さを実感できるツールが必要だと考えていました。また、新しく入った方の学習コストという面でも、簡単に操作できることは重要でした。

ただ、候補に上がったツールはWindowsでしか使えなかったり、モバイルの開発が始まったばかりだったりして、早々にMagicPodに絞られ、結果的には私がやりたかったことはMagicPodが全て叶えてくれました

伊藤︰アクセルラボさんには2022年4月からMagicPodを導入していただいています。阿部さんが2021年に入社されてから1年かけて選定されたということでしょうか?

阿部︰いえ、最初は私がドメイン知識を蓄えることから始めました。テスト自動化を進める方針は決まっていたのですが、私が入社した時点では「テスト自動化」という言葉だけが独り歩きしている状態で、「何を自動化するべきなのか」が定まっていなかったんです。

私の経験上、今のシステムがどんな仕様で、どんな課題があるのかといった知識がないと正しく構築できないことがわかっていました。まずはドメイン知識を蓄えることを優先して、1年くらいたって自動化のイメージができたので選定に入ったという流れです。

中島︰弊社のサービスの性質上、利用者が使うシーンを想定したIoTデバイスとの連携動作など実際に使ってみる状況で検証することで明らかになる側面が多いため、通常のユニットテストや結合テストだけでは不十分であり、QAによる第三者検証が不可欠です。
そのため、開発側のリソースを割かずにQAが主体的に検証環境を構築できる体制を作ることが重要なポイントでした。

阿部︰MagicPodは当時から親しみやすいデザインで、要素をひょいひょい移動させるだけでテストが作れますし、変数も使えて応用も効きます。良い印象しかなかったので選定から導入まではスムーズに進みました。


阿部 健一さん プロダクト開発グループ QAユニット

MagicPodの活用事例


伊藤︰自動化は実際どのように進められましたか?

阿部︰弊社のサービスはIoTデバイスをアプリで操作するものなので、どうしても物理的な操作が必要になります。いろいろ試行錯誤しましたが、難しいと判断してウェブの管理画面やアプリのほうから取り組みました。

まず全検証のテスト仕様書を作成し、それを実際に手動で実行してある程度の担保が保てると分かったら、その項目をMagicPodに載せて自動化しました。現在、管理画面のカバレッジ率は50%ほどで、手動で実行した時と比べて約28人日ほど効率化されています。

ただ、IoTデバイスについても引き続き検証を重ねて自動化する仕組みを考えていきたいと思っています。

伊藤︰確か最初にミーティングさせていただいたときは鍵の開け閉めについて検討されていましたよね。

阿部︰そうです。アプリから解錠・施錠を行うスマートロックを扱っているのですが、実際に動いたことを確認するのに画像比較ができたらいいなと考えていました。伊藤さんは「光の加減でも差分が出てしまうので難しいかもしれない」と仰っていて、実際にやってみたところその通りでした。何とかできないかとは思っているのですが、まずはできるところから取り組んでいます。

伊藤︰それはすごく良かったと思います。難しいところに挑戦されて自動化がうまく進まない方もいらっしゃいますので。

阿部︰テスト自動化はアイデア次第でいくらでもできてしまうんですよね。それが楽しいんですけど……。我々としてはデバイスの電源が入ってない時にどういう振る舞いをするかとか、実際に物が動いたかどうかをテストできるかが今後の課題です。

伊藤︰直近ではカバレッジ率の向上が課題ですか?

阿部︰そうですね。管理画面については90%ぐらいまで実現できると思うのですが、単純に時間とリソースが無くて、なかなか進捗できていない状況です。アプリは84%まで来ていますが、どうしても手動テストは残ってしまいます。

伊藤︰カバレッジ率50%も十分に高い水準なのかなと思います。そこを増やすのも大事ですが、今あるテストがきちんと使われ続けるというのもすごく大事です。継続的に使えて活用できているのが1番大事な成果なのかなと思います。

阿部︰そうですね。本当にその通りで、メンテナンス性を考えて運用までイメージできたのでMagicPodを選ばせてもらいました。実際に活用できているのは大きいです。

中島︰MagicPodの定期実行は朝7〜9時に回っていて、結果はSlackに飛ばしてもらっています。開発側としても不具合にすぐ気づけるので助かってますし、全検証がかなりの頻度で発生する中で、リソースを確保しつつ十分なテストができるのはすごく有効だなと実感しています。


中島 幸治さん プロダクト開発グループ グループダイレクター

最後に

阿部︰ツールの選定にあたっては、「何を自動化するのか」「どのような目的で自動化するのか」「そのツールをどのように運用したいのか」が明確になっていると、おのずとそれが実現できるツールに出会えると思います。

それがMagicPodだったという方には、「めちゃくちゃ使いやすいのでいいですよ」と伝えたいです。サポート体制が充実してますし、ユーザーの声を取り込んですぐにアップデートするユーザーファーストなスピード感もすごいです。エンジニアが経営をされているからこその、伊藤さんの人柄が伝わるツールだと思います。

中島︰弊社はユニットごとに分業しているため、開発のエンジニアをテスト自動化に参画させるのはなかなか難しい状況でした。その点、MagicPodは画面がわかりやすくQAが主体的にテスト自動化に取り組めたのは開発グループとして助かりました。MagicPodはメンテナンス性の高さも含めて、「自動化したいけどエンジニアのリソースが……」と悩んでいる方にお薦めのツールです。

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