自動化で貴重な人間のリソースを効率的に使う。環境構築なしで導入できるMagicPodは開発未経験でも取り組みやすい。

株式会社Gunosy

モバイルアプリテスト

ユーザーインタビュー第11回は、MagicPod代表伊藤とともに株式会社Gunosy様にお話を伺いました。
具体的な活用事例や選定の決め手など、いろいろとお話しいただきました。


株式会社Gunosy

Gunosyは「情報を世界中の人に最適に届ける」を企業理念に掲げ、情報キュレーションアプリ「グノシー」の提供をしています。また、KDDI株式会社とニュース配信アプリ「ニュースパス」を共同提供し、ポータルアプリ「auサービスToday」の開発・運営を担当しております。これらのメディア事業のほか、「GunosyAds」等のアドテク事業も⾏っています。この他、お茶の D2C ブランドとなるムードペアリングティー「YOU IN」の開発・販売をしています。


POINT

  • ノーコードツールはメンテナンスコストを減らせるメリットが大きい
  • MagicPodは環境構築なしで導入できるので敷居が低い
  • Sauce Labsとの連携で実機テストによる網羅性が向上している
  • マシンが得意なところを自動化すれば、人間は得意分野に集中できる

左:田口 一夫さん(技術戦略室 QAチーム マネージャー) 右:興梠 直子さん(技術戦略室 QAチーム QAエンジニア)

左:田口 一夫さん(技術戦略室 QAチーム マネージャー)
右:興梠 直子さん(技術戦略室 QAチーム QAエンジニア)

MagicPodを導入した経緯

興梠さん(以下、興梠):GunosyのQAはプロダクトごとに担当2人でチームを作っていまして、私は現在「グノシー」アプリを担当しています。入社したのが2019年で、当時はすべて手動でテストをしていました。

ただ、回帰テストの項目が多くなるにつれてメンテナンスの工数も増えてきますので、「そろそろ自動化しないと効率が悪いよね……」という課題感が出てきたタイミングでもありました。そこで、いくつか自動化ツールを検討してMagicPodを導入したのが2020年の前半くらいです。

私は直接ツールの選定に関わっていないのですが、「プログラミング知識がなくても使える操作性」「メンテナンス性の良さ」「実行回数に制限がない点」が決め手になったと聞いています。

田口さん(以下、田口):私は2022年4月に入社しました。これまで30年近くいろいろな業種でQAの仕事をしてきましたので、そういった経験を生かしてGunosyのQAチームをより力強いものにできればとマネージャーとしてチームをディレクションしています。

伊藤(MagicPod代表)︰お二人はGunosyに入社されるまでMagicPodなど自動化ツールを使ってきましたか?

興梠︰私はGunosyで初めて自動化ツールを使いました。選定の際にQAメンバーみんなでAppiumを書いてみようとしたこともあるのですが、コードを書けるメンバーが1人もいなかったこともあり、環境を構築するだけで何カ月もかかってしまいました。お陰で今はノーコードのありがたみを実感できています。

田口:私もMagicPodは今回が初めてですが、これまでSeleniumやAppiumなどいろいろ使ってきました。現在はマネジメントに専念しているので実際にMagicPodを使っているわけではないのですが、やはりコーディングが必要ないというのは大きな特徴だと思っています。

例えばSeleniumを使えばやれることの幅は広がるかもしれませんが、メンテナンスをする際もコーディングをしないといけなくなります。MagicPodはメンテナンスコストを減らせるメリットが大きいと思います。


MagicPodの活用事例

興梠︰MagicPodでは、「グノシー」のほかに「auサービスToday」と「ニュースパス」の3プロダクトがアクティブに開発されていまして、新バージョンのリリースごとに回帰テストを実行しています。頻度は新機能の手動テストと並行して、月1〜2回です。

伊藤︰毎日MagicPodを定期実行しているわけではないんですね。

田口︰将来的にはリリースに関係なく毎日回したいと考えています。過去にリリースしたバージョンとの相互運用性テストも含めて網羅性を高めていく予定です。開発側からも期待されていると思います。

伊藤︰どれだけ回してもコストは変わりませんので、デイリーで回していただくのはとても良いと思います。MagicPodの使い心地はいかがですか?

興梠︰操作がすごく分かりやすくて、時間をかけず直感的に使いこなせるようになるところが良いと思います。実際、コードが書けない私でもお手本になるテストケースを参考にしながら別のプロダクトのテストケースを作ることができています。

ボタンの位置がずれるなどUIの変更があった際にも自動で検知して修正してくれており、コードを書かなくてもメンテナンスできるので、本当に助かっています。

田口︰MagicPodを導入して回帰テストを自動化したことでデグレードの効率的な確認ができていますし、Sauce Labs(※)と連携して多機種・多バージョンの実機テストによる網羅性も向上しています。

※SauceLabsは、様々な種類のブラウザ・モバイル実機端末を使って手動・自動テストを簡単に行えるクラウドサービスです。Selenium・Appiumのテスト実行クラウドを提供する企業としてはおそらく業界最大手で、機能も充実しています。

伊藤︰活躍しているようで良かったです。Sauce Labsでは何機種くらい動かしてますか?

田口︰リリース前にOSのバージョン違いで5つです。今は例えば「小さい変更のリリースなら代表的なバージョンだけで済ます」といった重み付けを始めています。

伊藤︰開発メンバーがMagicPodを使うことはありますか?

興梠︰使っているのはQAチームだけですが、テスト結果は開発チームも見られるSlackチャンネルで流しています。開発メンバーが協力的なお陰で、MagicPod用にidを設定してくれたこともありますし「問題が見つかった際はお互いに見よう」という話もできています。

実際にあるはずの要素が出てこないバグをMagicPodが見つけて開発側で修正してもらったこともあります。ただ、日常的にはテストケースの問題が多いので、QAチームで対処することのほうが多いです。

伊藤︰開発と協力しながら運用できるのは理想的ですね。QAチーム内で振り返りをすることはありますか?

田口︰現在はプロダクトごとに運用が完結していますので、これからです。ただバグを見つけるのではなくて、根本原因をきちんと把握して、開発にフィードバックしていきたいと考えています。「QAチームがいて良かった」とより実感してもらえるようなチームにしていきたいです。

MagicPodのサポート体制

田口︰MagicPodは技術サポートに問い合わせると迅速に回答してもらえるので助かっています。伊藤さんはサポートにも関わっているんですか?

伊藤︰基本的にはカスタマーサポートが対処して、難しいものは技術サポート、それでもダメなものはエンジニアが対処しています。エンジニアが難しくて分からないときに私がアドバイスをすることもあります。

興梠︰リリースQAの合間でメンテナンスをしているので、早く返信が来るととても助かっています。いつも問い合わせをしたら、当日か翌日にはお返事をいただいています。ユーザー向けに使い方セミナーみたいなものを開催する予定はありますか?

伊藤︰オフラインはコロナ禍であまり頻繁にはできていなかったのですが、最近新しいオフィスに移ったので今後は積極的に開催していく予定です。エンジニアも参加しますので、その場で操作しながら説明できると思います。あとはSlackのユーザーコミュニティーも最近すごく人が増えて、メンバー同士でアドバイスし合うなど活性化しています。

興梠︰ユーザーコミュニティーに参加していなかったので、早速参加してみます。

伊藤︰MagicPodのトップページからリンクがありますので、ぜひ活用していただければと思います。


最後に

興梠︰MagicPodは環境構築なしで導入できるので敷居が低く、開発未経験の人でも取り組みやすいところが良いと思います。自動化したことで得られるメリットも感じやすいのではないでしょうか。

決まった手順を繰り返し正確に行う必要のあるテストケースは人間よりもマシンが得意とする部分ですので、そこは積極的に自動化を進めるべきです。一方で人間の感覚を理解して直感的にバグを見つけるのは人間の得意分野です。貴重な人間のリソースを効率的に使うためにも、MagicPodを使った自動化は良い選択肢だと思います。

田口︰私も、まずは「やってみるべき」だと思います。そのためにも敷居が低いMagicPodは良いと思います。
ただ、注意が必要なのは「ダメなテストケースを自動化しても意味がない」という点です。さまざまな現場を見てきた肌感覚でも、テストケースをリファクタリングして良いものになっているからこそ、そのテストケースを自動化する意味があると思います。そういったことを行わず、自動化の効果が出ていないのに導入したことに満足してしまっているケースは少なくありません。
人間のテスターがルーチンワークをやり続けるのはきついものがあります。まずは自動化すべきところからしっかり自動化して、人間は人間がやるべきことをやりましょう。

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